ハリネズミのジレンマ


僕たちは組織の中で仕事をしています。


その組織は、ミッションやビジョン、
標数字を達成するために
集まった集合体です。


それらの目標を達成するためには
時にはお互いを叱咤したり、
真剣にけんかしたり
上司であれば、部下のことを本気で叱ったり。


一見人間関係を壊してしまうのでは?
という【踏み込んだコミュニケーション】が必要です。


そういう行動が無くなった組織は、
傷の舐めあいを始めて
どんどん弱くなっていきます。






ハリネズミのジレンマ

この状態をうまく表現した
ハリネズミのジレンマ』という
ドイツのシュウベンハウエルという哲学者が作った寓話があります。


ある寒い国に2匹のハリネズミがいます。


近づくと、相手の体に生えているトゲがささって、
痛くてしかたありません。


そこで、あわてて離れてみましたが、
それだと寒くて、耐えられそうにありません。


2匹のハリネズミは、近づいては相手のトゲで痛い思いをし、
離れては寒さに凍えるということを繰り返していましたが、


お互いに協力し合って、ついに、痛みを我慢出来、
お互いのぬくもりで温まれる”最高の距離”を探し当てました。


これは


「傷つきたくない」でも「離れていては死んでしまう」
という両立しない2つの事をどう処理するか?

という話で、組織の中でもよくある話です。



つい最近、
うちの支店長会議でこのような場面があり、
私は『こんなヌルい会議ならやめれば?』と言いました。


ある大幅に未達成している支店長が発表しているのに
どの支店長も指摘をしない。。支援策の話も出ない。。
大幅にですよ。


このまま会議が終われば、
未達成でもいいという文化が生まれます。
組織にとっては一番致命的です。


組織にとっての話だけではなく、
その未達成だった支店長が次失敗しないように
アドバイスをしたり、代替案を考えたり、支援策を考えたりという
建設的な話につなげなければ、その支店長は成長しません。




■棚に上げる!!

ではなぜ、このような場面で指摘をしないのでしょう?


『自分の支店も未達成だからな。。』
『その支店長も精一杯やっていたからな。。』
『自分はまだ新人だから、生意気な事は言えないな。。』


上記のような感情になるのは分かります。


僕も、自分の組織がうまくいっていない時は
他人を指摘してもいいんだろうか?と迷う時もあります。


ただ、それは個人的な一時の感情であって
中長期的に組織の成長を見たときに
自分の事を棚に上げて会議に参加しないと、参加する意味がありません。


僕達は人材ビジネスを行っており、
ビジネスモデル上、一人では完結できません。


生保の営業なら、自分のスキルさえ磨けば
必ず成果につながるので一人で完結できます。


でも我々は、仲間を指摘したり支援しないと、
自分の成果も達成できない。
自分の支店も未達成に終わってしまうという、
仲間との関係強化が非常に重要なビジネスです。


登録者担当は、しっかりアサインする必要があります。
営業は登録者の方に紹介する仕事を
獲得してこなければいけません。
どちらかが未達成なら、すべて未達成になるんです。


人材ビジネスだけではありません。
大半の業界が、【仲間のバリューチェーン】がつながらないと
成果につながらなくなっています。


ハリネズミで言うと、
他人の針に突き刺さるのが怖いと逃げて指摘しないでいれば
寒さで死んでしまいます。


寒さで死んでしまうというのは、会社でいうと”倒産”です。


この厳しい市場環境の中では、
競合に負けてしまう。市場の変化についていけない。
イノベーションが起きない。など組織の死を意味します。


特に、規模が大きくなったり
メンバー数が多くなると、このような傾向が多くなってきます。

自分ぐらい指摘しなくても、何とかなるだろう。。


会議もあまり大人数集めすぎると
環境や経験が違う人たちが集まり、
空気を読む事ばかりに終始しだします。


もともとベンチャーで、
いまや上場した経営者と話をした際に
『どんどん、このような文化が無くなってくる。。』と嘆いていました。


自分の仲間を指摘したり、部下を叱ったりする行為は、
どんどん個人と組織を強くしていく行為です。


初めはお互いが傷つくかも知れません。
ただ、指摘しましょう。


いずれ”最高の距離”が必ず見つかり、
強い仲間・組織になっていくはずですから。