アメリカのコールセンター市場 【その1】 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜


10/20〜10/26までアメリカのカンザスシティーとダラスに
コールセンター視察で行って来ました。


この視察に関しては3回に分けてblogを書こうと思っています。

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 【その1】: 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜
 【その2】: 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜
 【その3】: 〜 アメリカってどんな国 〜(お気楽な感じ)
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※前回のフィリピン視察も同じように綴っています。



アメリカのコールセンター市場概要

国土も大きく、経済規模も世界一の米国です。
さすがコールセンター市場も非常に規模が大きいです。

アメリカのコールセンター市場規模ですが、2012年で約200億ドル(約2兆円)
日本が約7,500億ですから約3倍以上の規模です。

成長率に関しては2012年〜2017年にかけて、平均103%〜105%成長と
日本の成長率とほぼ同じで、後ほど記述しますがオバマケアの影響なども含めて
2017年には約250億ドル(2,5兆円)になると見込まれています。デカイですね。。。

2012年現在で約500万人がエージェントとして雇用されています。
一番多いのはニューヨークで20万名、ついでロスで14万名、ダラスで11万名など
日本では約100万人と言われているので約5倍の規模です。

コールセンター座席数が全世界で約800万〜1,000万席といわれており
そのうちの1/3である302万席を米国のコールセンターが占めます。



■市場の拡大機会

その他の拡大機会として、非常にインパクトの大きいのが
オバマケア」による電話問い合わせの拡大です。

オバマケア」は簡単に言えば、今まで政府の保険に未加入であった人間すべてを
保険適応にするという取り組みで、これにより4,130万名が新規加入が見込まれています。

この取り組みにより、2013年度「オバマケア」に関する電話問い合わせ件数は
約4,200万件と予測されており、連邦政府が運営するコールセンターでは
7,000〜9,000名のエージェントが必要となっています。

例えば、米テレマーケティングエージェンシーVangent社では、連邦政府と1年間で
5億3,000万ドル(約530億円)の契約を締結し、新たに17箇所のセンターが構築されました。

530億と言えば日本で言えば、NTTソルコの年商が486億円なので
一年でソルコ社1社分の仕事を受注したことになります。

その他にもカリフォルニア州では、35のセンターが新たに構築されているなど
日本の年金案件とは桁違いの拡大が進んでいます。。



■給与レベル

エージェントの平均年収は約4万ドル(400万)と言われています。
・一般的な電話業務 2,6〜3,2万ドル
・複雑な電話業務 3,7〜4,7万ドル
・スーパーバイザー 5,6〜7,2万ドル
・マネジャー 7,5〜9,4万ドル

ただ、視察した先でエージェントの時間給を聞くと、大体10〜14ドルなので
実際のころは年収3〜5万ドルぐらいだと感じています。
日本より少し高いか、ほとんど同じぐらいの給与体系かも知れません。


■ヒスパニック系対応増加

米国におけるヒスパニック(スペイン人)人口は増加傾向にあり
2010年は4,370万名と総人口の約14,6%を占めていますが
2050年には約9,820万名と、その比率は24,3%まで拡大すると予想されています。

ヒスパニックの顧客はスペイン語対応のニーズが高いだけでなく、
エージェントと長時間話す傾向があり、
必要情報量が多く、手厚いサポートが必要とされています。

スマートフォンタブレット等の技術系対応力が高く、
収入も安定している富裕層が多いため、米国における大きなビジネスチャンスといえます。


■米国回帰について

ここ数年、コスト削減を目的に米国のコールセンターを
オフショアとして、フィリピンやインドへの移管が進んでます。
※フィリピンのコールセンター市場拡大に関しては以前のblogをご参照下さい。

ただ、一方で、そのオフショアしたものを、米国に戻す動きも出てきています。
それには大きく3つの理由があります。


[1] 顧客満足度の低下
 【一時解決率】米国内対応(67%):オフショア対応(50%)
 【問題解決率】米国内対応(94%):オフショア対応(85%)
 スキルの差があり、それにともなって顧客満足度が下がっているというデータになります。

[2] 賃金の上昇
 オフショア先のフィリピン、インド、コスタリカ、ジャマイカなどでは
 年間賃金上昇率は7%〜10%。それが米国では2%〜10%であるためその差は縮みつつある。
 米大手複合企業General Electric社のジェフ・イメルトCEOは
 米国とインドのコスト差は10%未満というコメントを出しています。

[3] 米国雇用者保護
 民主党のティモシー・ビショップ議員は
 「米国コールセンター従業員・顧客保護法(2011年)」として
 海外でコールセンター業務を行う米国企業を、連邦政府による融資、税優遇措置の
 対象外とする、コールセンターの位置の通知を求めるなどの法案を提出しました。
 最終的には可決されていませんがこういう動きもあります。

以前フィリピンに行ったときには、オバマ大統領が、フィリピンへの
オフショア化が進んでいることで、米国の雇用が不安定になっていると
バッシングを受けている。というのを聞いた事がありましたが
政治的、米国雇用安定の観点からも米国回帰の動きは一部あります。


以上

次は、視察して感じたコールセンターの現場の特徴を記載します。