アメリカのコールセンター市場 【その3】 〜 アメリカってどんな国 〜


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 【その1】: 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜
 【その2】: 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜
 【その3】: 〜 アメリカってどんな国 〜(おまけ)
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■ウェルカムアメリカ!!

今回の視察の旅は、現地アメリカに着くまでは、成田から、長い、長い、空の旅。
体操やアキレス腱を伸ばしまくりながら、13時間の長いフライトを終え、
アメリカのダラス国際空港に到着。

さすがにアジアだと6時間前後なので、13時間は結構きついですね。

ダラス到着後、国内線でカンザスシティ国際空港に移動する予定でしたが
なんと、ダラス空港のベルトコンベアから僕のスーツケースが出てこない。。

結局、最後の最後までベルトコンベアからは出てこず
僕の目の前にひとつだけ残されたのは
僕の【紺色のスーツケース】ではなく、
形状の似た一回り小さい【紺色のスーツケース】。。

完全に誰か、間違えて持って行ってる状態、、、

やばい、空港の人に『Help me!!』的な事を申し出た時の彼らの言葉にビックリ、、

『きっと、国内線のカンザスシティ行きの飛行機に乗ってるから大丈夫だよ』と。

なんて楽観主義なんだろう。
大半の人は、ダラス空港に到着して、そのままダラスで過ごしたり、仕事をする訳で
国内線で、しかもカンザスシティ空港に移動する人は少ない。

と言ってもどうにもならないので
腹をくくってカンザスシティ行きの飛行機に乗りました。

カンザスシティに向かう飛行機の中で考えていた事は

視察で利用するスーツを安く買えるスーツカンパニー的なお店はアメリカにはあるの?
パンツも、靴下も、シャツも買えるユニクロ的なお店はあるの?
アメリカ食に飽きた、ここぞと言う時のために持ってきた
リーサルウェポン【どん兵衛】の代わりを果たせる日本食は手に入るの??


ところがアメリカンミラクルは起きました。

そう、カンザスシティーに僕の【紺色のスーツケース】が
ベルトコンベアから出てきたんです。

その再会の写真がこちら

という到着早々のアクシデントでした。



アメリカの【3つのデカい】

[1] 国土がデカい
アメリカに行って、まず感じた事は、今更当たり前の事なんですが
とにかくアメリカはデカい。。と言う事です。

テレマーケティングという遠隔サービスのビジネスが生まれ
いまだに発展を続けている一番の理由はこの”国土のデカさ”にあると痛感しました。

どれだけデカイかと言うと、今回訪問したダラスはテキサス州にあるのですが
テキサス州の面積が 696,241 km2 
日本全土の面積が 377,900 km2
アメリカ50ある州の、テキサスというひとつの州だけで日本の倍の面積があるんです。。

ちなみにアメリカ全土の面積は9,827,000 km2 なので日本の約27倍の大きさです。


テキサス州を移動しましたが、街中にはハイウェイがどこまでも続いており
とにかく車が無いと生活ができません。

北海道でよく、どこまでも地平線の彼方まで道が続くと言いますが
北海道のような、だだっ広さなのに、ある程度栄えており、
あちらことらに、ウォルマートやドライブスルーがあります。

実際のウェルマート。
天井がIKEAの倉庫みたいな高さです。


一家に数台車があり、
町のあちこちに日本の戸建ての5倍ぐらいの大きさの豪邸のような家が、
ガンガン集合住宅のようにあります。
その豪邸が2000万円ぐらいが相場だと聞きました。




[2] 食べ物、飲み物がデカい

まず、とにかく肉がデカい。

カンザスは、カンザスビーフが有名で、あちらこちらにステーキ屋さんがあります。

ただ、もう食いきれません。あの肉の量は。
しかも肉だけでなく、添えてあるポテトの量も半端ではありません。


あとは飲み物
コールセンターで働く人たちが、センターに持ち込んでいる飲み物ですが
少し小さめのバケツみたいなモノにストローをさして持ち込んでいます。

本当にデカい
これは同行している他のメンバーも口を揃えて言っていました。
『バケツのようだと。。。』


[3] 人がデカい
とにかく人がデカい(とにかく太っている。。)

信じられないと思いますが、信じてもらえなくてもいいので書きますが
これぐらいの人はざらにいます。


これマジです。

映画や、テレビで見るようなアメリカ人はもちろん、普通にスリムですが
あのぐらいのスタイルの人の方が少ないです。
かなり太っていると感じるのは5名に3名ぐらいの比率です。

今回は特にコールセンターに行ったので
あまり動かなくてすむ職場だったからかも知れませんw


■JFK

今回の視察で訪問したテキサスのダラス市街には
なんとケネディー大統領が暗殺された場所があります。

皆さんもケネディーが暗殺される
あの映像を一度は見られた事があると思います。

その現場がこの、僕の目の前にある『×』と書いてある場所です。

この写真の右奥にある茶色の建物の六階から撃たれたと言われています。

今はこの建物は「シックスフロアミュージアム」と言われ
ケネディーの歴史にまつわる博物館になっています。

もともと防弾ガラスの装備された車でのパレードする予定でしたが
当日、ケネディーがサービス精神から『オープンにしよう。』
という事で急きょオープンカーになったらしいです。

ケネディーが暗殺されて今年でちょうど50年たちますが
実はその暗殺者や暗殺理由は闇の中に葬られたままです。

射殺犯として捕らえられたオズワルドが、捕まった時に行った一言目は
『はめられた。。』だったと言われており
そのオズワルドも逮捕された二日後に射殺されています。

まさか死ぬまでに、ケネディ大統領が暗殺された現場に行けるとは
想像もしていなかったので、非常に感慨深い思いをしました。



やはり、世界第一の経済大国です。
何もかもがデカく、何もかもが新鮮でした。

やはり現地に行かないと分からない、現地の生の空気。
様々な気づきと、成長を与えてくれました。

この世界NO.1の経済大国で、僕たち自身が”デカい仕事”をやりたいと
つくづく感じた視察でした。

アメリカのコールセンター市場 【その2】 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜


カンザスシティーのテレマエージェンシー【USA800社】エントランス

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 【その1】: 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜
 【その2】: 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜
 【その3】: 〜 アメリカってどんな国 〜(お気楽な感じ)
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アメリカのコールセンター企業

米国には約4,200社のコールセンター関連企業があります。
日本と様子が違うのが、そのシェア率です。
日本の市場だと大手5社で市場の約75%の売上シェアを占めています。
※【通販新聞テレマーケティング売上高調査】 上位5社合計で約70%のシェア

米国だと上位15社でようやく50%となり、
1社で10%以上のシェアを持っている企業はありません。
シェアNO.1のconvergys社でも7,1%となっており、まさに群雄割拠の業界といえ
各社特徴を出したり、差別化を意識しているように感じました。


例えば、今回訪問したテレマーケティングエージェンシーの【NOVO1社】
年商150億規模の企業ですが、独自の取り組みをいろいろ行っていました。



【NOVO1社】のCMOジャックとツーショット


例えば、エージェント採用のシステムを独自で開発しており
応募の段階で、web上でテスト行ったり、適正診断を行うことが可能だったり
入社前から、声のオーディションを行うなど、非常に効率的に管理しています。
随時、そのスキルに見合う人材をプールしています。


【USA800社】はエンプロイオーナーシップという思想があり、
エージェントも自社株を持つ事を推進し、一人一人がオーナーシップを持つように
という思想でオペレーションをしています。



■モチベーション管理

もちろん、万国共通でエージェントの
モチベーション管理はどこも徹底しています。


[ 環境のいいセンター ]

[
大きなデスクが一人に一つ


BOSSも誕生日バルーン



[ 旅行のプレゼント ]

この写真は毎年優秀者上位5%を対象に
カリブ海のセレブビーチリゾート【カンクン旅行】をプレゼントするというポスターです。


[ 家族写真 ]
これはすごいいいと思ったのですが
センターに向かうまでの廊下なのですが
そこに勤めるエージェントの”実際の家族”の写真が貼ってあります。

何のために、誰のために頑張って働くのか?
毎日実感しながら働いて欲しい。という思想だそうで
非常にいいな〜と思いました。



■テレワーク(在宅エージェント)について

日本では個人情報の観点などから、
なかなか在宅テレワークが拡大していませんが、アメリカでは非常に進んでいます。

データから言えば、コールセンターの53%がテレワークを利用しており
このうち70%の企業が、今後も増やしていく。という方針があります。
2013年度のCCAJ調べで、日本コールセンターでは
80%が導入予定なし、7.3%が予定あり、3,6%が導入済みとなっており
53%が導入済みの米国と3,6%しか導入していない日本とでは大きな差があります。

例えば一例として、米国大手エージェントのsykes社では、
すでに米国40州、カナダ8州にて5,000名のテレワークを利用しており、
ヒルトンホテルでは900名。シティーグループは1,000名など

あと、今回訪問した【optumRX社】では
実際のテレワーカースタッフ
「アレクサ」さん(在宅勤務2年半)へのインタビューを行えました。

まずこの企業では、テレワークで勤務できる福利厚生の一環という捕らえ方です。
テレワーカーになれる資格は、まずこのセンター内で6ヶ月以上の勤務経験があること。
そして、6ヶ月の成績上位40%以上に入っていること。
子供がいる家庭では、オペレーション中は必ず子供を
デイケアセンターなど、どこかに預けていること。
この条件をクリアーしている人にチャンスがめぐってくる。という事です。

なぜ福利厚生の一環かと言えば
エージェントに取ってメリットがあるからです。
僕もこのテレワーカーに、在宅になった事でのメリットとデメリットを聞きました。
メリットは、とにかくガソリン代がかからないので経済的。
服装を気にしなくて良い、通勤時間が不要など

統計では、テレワークを導入することで
企業側のコスト削減が月間8,000円(地代家賃など)
エージェント側が22,000円(ガソリン代、食事代、税金など)
合計30,000円の経済効果があると言われています。


ただ、デメリットとしては、会社のメンバーとコミュニケーションを交わせない。
というものでした。
実際、これは大きな課題だとどの会社も認識しており
せっかく活躍していた、テレワーカーが疎外感を感じて、退職してしまうという問題も
当初は多かったらしく、どの会社も在宅で業務はするが、1ヶ月のうち何度かは
オフィスに来て、mtgをしてコミュニケーションの機会も持っていると言っていましたが。


日本企業である僕達が一番気になるセキュリティーに関して
例えば、個人情報を写メをとったり、
メモを取ったりできるものに対しての対策は?と質問すると。
企業側の回答としては『6ヶ月間うちで活躍した人材なので信頼しています。』
という事で、なんとセキュリティーをITでカバーしたりという事はなく
信頼関係という事でカバーしていた事には少し驚きました。

あと何社かに訪問しましたが、PCの付与に関しては
ある会社は付与するし、ある会社では付与しないなど、ばらつきはありました。

数社訪問しましたがセンター人員の5%〜10%ほどは
テレワーカーで運用をしていました。この普及率には少し驚きました。


■最後に

今回複数のコールセンターに訪問して感じた事は
米国のセンターと日本のセンターと比較すると、もちろん、違いがあるものの
圧倒的に米国の方が先を行っているという感じではなかったと言う事です。

もちろん、在宅エージェントやシステム投資、合理的なオペレーションなどは
さすがだと感じる部分はたくさんありました。

あるセンターでは、一切マルチ化を行わないと言っていました。
専門性を強化する。とは言っていましたが、ひとつの仕事を極めるほうが簡単です。

日本ではマルチ化、複数オペレーションを実行できる優秀はエージェントはたくさんいますし
それをよしとしており、非常にエージェント自身が優秀だと思います。

そう考えると、日本のエージェントの技術は非常に高いのでは?とも感じました。

あとエージェントの雇用形態に関しては、
人材エージェントを利用している実態も分かりました。
NTTソルコ社調べでは、インハウスでは58社中54社93%が
テレマーケティングエージェンシーでは82社中80社97%が
人材派遣を利用しているようで、非常に高い比率です。

我々は日本国内ではコールセンターに特化した人材派遣を展開しています。

今後は日本国内に留まらず、いずれ米国、その他のアジアへの進出も
視野に入れたいと思っています。
その際には、日本のいい部分をしっかり維持しながら、
ローカライズも行ったサービスを提供できるように
引き続き、調査やニーズ確認を行って行きたいと思います。

アメリカのコールセンター市場 【その1】 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜


10/20〜10/26までアメリカのカンザスシティーとダラスに
コールセンター視察で行って来ました。


この視察に関しては3回に分けてblogを書こうと思っています。

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 【その1】: 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜
 【その2】: 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜
 【その3】: 〜 アメリカってどんな国 〜(お気楽な感じ)
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※前回のフィリピン視察も同じように綴っています。



アメリカのコールセンター市場概要

国土も大きく、経済規模も世界一の米国です。
さすがコールセンター市場も非常に規模が大きいです。

アメリカのコールセンター市場規模ですが、2012年で約200億ドル(約2兆円)
日本が約7,500億ですから約3倍以上の規模です。

成長率に関しては2012年〜2017年にかけて、平均103%〜105%成長と
日本の成長率とほぼ同じで、後ほど記述しますがオバマケアの影響なども含めて
2017年には約250億ドル(2,5兆円)になると見込まれています。デカイですね。。。

2012年現在で約500万人がエージェントとして雇用されています。
一番多いのはニューヨークで20万名、ついでロスで14万名、ダラスで11万名など
日本では約100万人と言われているので約5倍の規模です。

コールセンター座席数が全世界で約800万〜1,000万席といわれており
そのうちの1/3である302万席を米国のコールセンターが占めます。



■市場の拡大機会

その他の拡大機会として、非常にインパクトの大きいのが
オバマケア」による電話問い合わせの拡大です。

オバマケア」は簡単に言えば、今まで政府の保険に未加入であった人間すべてを
保険適応にするという取り組みで、これにより4,130万名が新規加入が見込まれています。

この取り組みにより、2013年度「オバマケア」に関する電話問い合わせ件数は
約4,200万件と予測されており、連邦政府が運営するコールセンターでは
7,000〜9,000名のエージェントが必要となっています。

例えば、米テレマーケティングエージェンシーVangent社では、連邦政府と1年間で
5億3,000万ドル(約530億円)の契約を締結し、新たに17箇所のセンターが構築されました。

530億と言えば日本で言えば、NTTソルコの年商が486億円なので
一年でソルコ社1社分の仕事を受注したことになります。

その他にもカリフォルニア州では、35のセンターが新たに構築されているなど
日本の年金案件とは桁違いの拡大が進んでいます。。



■給与レベル

エージェントの平均年収は約4万ドル(400万)と言われています。
・一般的な電話業務 2,6〜3,2万ドル
・複雑な電話業務 3,7〜4,7万ドル
・スーパーバイザー 5,6〜7,2万ドル
・マネジャー 7,5〜9,4万ドル

ただ、視察した先でエージェントの時間給を聞くと、大体10〜14ドルなので
実際のころは年収3〜5万ドルぐらいだと感じています。
日本より少し高いか、ほとんど同じぐらいの給与体系かも知れません。


■ヒスパニック系対応増加

米国におけるヒスパニック(スペイン人)人口は増加傾向にあり
2010年は4,370万名と総人口の約14,6%を占めていますが
2050年には約9,820万名と、その比率は24,3%まで拡大すると予想されています。

ヒスパニックの顧客はスペイン語対応のニーズが高いだけでなく、
エージェントと長時間話す傾向があり、
必要情報量が多く、手厚いサポートが必要とされています。

スマートフォンタブレット等の技術系対応力が高く、
収入も安定している富裕層が多いため、米国における大きなビジネスチャンスといえます。


■米国回帰について

ここ数年、コスト削減を目的に米国のコールセンターを
オフショアとして、フィリピンやインドへの移管が進んでます。
※フィリピンのコールセンター市場拡大に関しては以前のblogをご参照下さい。

ただ、一方で、そのオフショアしたものを、米国に戻す動きも出てきています。
それには大きく3つの理由があります。


[1] 顧客満足度の低下
 【一時解決率】米国内対応(67%):オフショア対応(50%)
 【問題解決率】米国内対応(94%):オフショア対応(85%)
 スキルの差があり、それにともなって顧客満足度が下がっているというデータになります。

[2] 賃金の上昇
 オフショア先のフィリピン、インド、コスタリカ、ジャマイカなどでは
 年間賃金上昇率は7%〜10%。それが米国では2%〜10%であるためその差は縮みつつある。
 米大手複合企業General Electric社のジェフ・イメルトCEOは
 米国とインドのコスト差は10%未満というコメントを出しています。

[3] 米国雇用者保護
 民主党のティモシー・ビショップ議員は
 「米国コールセンター従業員・顧客保護法(2011年)」として
 海外でコールセンター業務を行う米国企業を、連邦政府による融資、税優遇措置の
 対象外とする、コールセンターの位置の通知を求めるなどの法案を提出しました。
 最終的には可決されていませんがこういう動きもあります。

以前フィリピンに行ったときには、オバマ大統領が、フィリピンへの
オフショア化が進んでいることで、米国の雇用が不安定になっていると
バッシングを受けている。というのを聞いた事がありましたが
政治的、米国雇用安定の観点からも米国回帰の動きは一部あります。


以上

次は、視察して感じたコールセンターの現場の特徴を記載します。

ハリネズミのジレンマ


僕たちは組織の中で仕事をしています。


その組織は、ミッションやビジョン、
標数字を達成するために
集まった集合体です。


それらの目標を達成するためには
時にはお互いを叱咤したり、
真剣にけんかしたり
上司であれば、部下のことを本気で叱ったり。


一見人間関係を壊してしまうのでは?
という【踏み込んだコミュニケーション】が必要です。


そういう行動が無くなった組織は、
傷の舐めあいを始めて
どんどん弱くなっていきます。






ハリネズミのジレンマ

この状態をうまく表現した
ハリネズミのジレンマ』という
ドイツのシュウベンハウエルという哲学者が作った寓話があります。


ある寒い国に2匹のハリネズミがいます。


近づくと、相手の体に生えているトゲがささって、
痛くてしかたありません。


そこで、あわてて離れてみましたが、
それだと寒くて、耐えられそうにありません。


2匹のハリネズミは、近づいては相手のトゲで痛い思いをし、
離れては寒さに凍えるということを繰り返していましたが、


お互いに協力し合って、ついに、痛みを我慢出来、
お互いのぬくもりで温まれる”最高の距離”を探し当てました。


これは


「傷つきたくない」でも「離れていては死んでしまう」
という両立しない2つの事をどう処理するか?

という話で、組織の中でもよくある話です。



つい最近、
うちの支店長会議でこのような場面があり、
私は『こんなヌルい会議ならやめれば?』と言いました。


ある大幅に未達成している支店長が発表しているのに
どの支店長も指摘をしない。。支援策の話も出ない。。
大幅にですよ。


このまま会議が終われば、
未達成でもいいという文化が生まれます。
組織にとっては一番致命的です。


組織にとっての話だけではなく、
その未達成だった支店長が次失敗しないように
アドバイスをしたり、代替案を考えたり、支援策を考えたりという
建設的な話につなげなければ、その支店長は成長しません。




■棚に上げる!!

ではなぜ、このような場面で指摘をしないのでしょう?


『自分の支店も未達成だからな。。』
『その支店長も精一杯やっていたからな。。』
『自分はまだ新人だから、生意気な事は言えないな。。』


上記のような感情になるのは分かります。


僕も、自分の組織がうまくいっていない時は
他人を指摘してもいいんだろうか?と迷う時もあります。


ただ、それは個人的な一時の感情であって
中長期的に組織の成長を見たときに
自分の事を棚に上げて会議に参加しないと、参加する意味がありません。


僕達は人材ビジネスを行っており、
ビジネスモデル上、一人では完結できません。


生保の営業なら、自分のスキルさえ磨けば
必ず成果につながるので一人で完結できます。


でも我々は、仲間を指摘したり支援しないと、
自分の成果も達成できない。
自分の支店も未達成に終わってしまうという、
仲間との関係強化が非常に重要なビジネスです。


登録者担当は、しっかりアサインする必要があります。
営業は登録者の方に紹介する仕事を
獲得してこなければいけません。
どちらかが未達成なら、すべて未達成になるんです。


人材ビジネスだけではありません。
大半の業界が、【仲間のバリューチェーン】がつながらないと
成果につながらなくなっています。


ハリネズミで言うと、
他人の針に突き刺さるのが怖いと逃げて指摘しないでいれば
寒さで死んでしまいます。


寒さで死んでしまうというのは、会社でいうと”倒産”です。


この厳しい市場環境の中では、
競合に負けてしまう。市場の変化についていけない。
イノベーションが起きない。など組織の死を意味します。


特に、規模が大きくなったり
メンバー数が多くなると、このような傾向が多くなってきます。

自分ぐらい指摘しなくても、何とかなるだろう。。


会議もあまり大人数集めすぎると
環境や経験が違う人たちが集まり、
空気を読む事ばかりに終始しだします。


もともとベンチャーで、
いまや上場した経営者と話をした際に
『どんどん、このような文化が無くなってくる。。』と嘆いていました。


自分の仲間を指摘したり、部下を叱ったりする行為は、
どんどん個人と組織を強くしていく行為です。


初めはお互いが傷つくかも知れません。
ただ、指摘しましょう。


いずれ”最高の距離”が必ず見つかり、
強い仲間・組織になっていくはずですから。

人生の6つの柱



「仕事をバリバリしたい!」
と思っている人はたくさんいます。

ただ。。。

「仕事をバリバリしたい!」けど。。

「もっと家族や恋人と一緒に過ごしたい」
「たまには自分の趣味に時間を使いたい」
「体調壊すほど頑張っているので、少し体を休めたい」


と感じている人も多いと思います。


僕はそんな時に意識しているのが
いつ?何が?満たされているのが最高の人生か?を考える事です。


■人生の6つの柱

人生の幸せのカテゴリーを分けるとしたら
6つに分けられると言われています。

[1]仕事
[2]家庭
[3]健康
[4]教養
[5]趣味
[6]財産

これを人生の6つの柱といいます。


僕はこの柱を意識しながら人生を過ごしています。

この6つ、すべてが満たされているのがもちろん最高なのですが
同時期にすべてが満たされている状態は
現実的に無理だと理解するのが合理的です。

この6つのパワーのかけ方や満たされ方は
時期によって分けて考えべきです。

その中でも僕が思うのは
まず30歳までは、すべて”仕事”で埋め尽くすべきだ。という事です。

その30歳までに社会で生き残っていける基礎力を養う必要があります。

その時期に、仕事も、趣味も、遊びも、娯楽も、何もかも手に入れようとして
仕事のパワーを緩めると、あとの人生で痛い目を見ます。。

なぜかと言うと
仕事に打ち込んで、自分を人として成長させて
「お金を稼ぐ力」を身につけないと、
その他の5つは、ほとんど叶わないと思った方が賢明です。


別に贅沢をしたい。というレベルでなく
普通の暮らしもままならないという危機感を持った方がいいです。

今の日本や世界の時代背景を客観的に理解して下さい。

グローバル化は進み、優秀な人材がどんどん海外からやってきます。
製造業は海外で安く生産するので、国内での雇用はどんどんなくなります。
日本国内では少子高齢化で、内需やGDPの大幅な拡大は見込めません。
スペインやギリシャでの失業率は20%台をうろうろしています。
年金も不安定で、だれも、あなたの未来何て保障してくれません。


そんな環境でもいい人生を送れる。
その状態に持って行くためには
やはり「お金を稼ぐ力」を養っておかないと厳しい現実がまっています。




■お金持ちって、昔からお金持ち?

「お金を稼ぐ力」を持った人の中で、より運がよかったり、もっと努力して
「お金持ち」になる人もいます。

ちなみに、皆さんいわゆる「お金持ち」を見た時にどう感じますか?

メルセデスベンツBMWに乗っている人を見た時
飛行機でビジネスやファーストクラスに乗っている人を見た時
伊勢丹でブランドの袋を複数持っている人を見た時w

正直、
「いいよな〜あんなにお金があって。。。」
「俺も楽して、あんな稼ぎたいよ。。。」
というのが本音ではないでしょうか?

でも、その「お金持ち」の方々って
想像を絶するぐらい”仕事”をやっている。
という裏側をあまり知ろうとしませんし知る由もありません。

お金を持っている。という「結果」だけが目について
それをどうして叶えたのか?という「プロセス」はあまり目立ちません。



■日本は有名税が高くつく国

僕のある先輩で会社経営者している人がいます。

その方は関西出身で、東京に来て成功をおさめた方です。
その先輩と7、8年ぐらい前に話をしていて、なるほど。と思った話なのですが

その方はまっとうにビジネスで成功し、20代前半で高級車を乗っていました。
その高級車で、実家の関西に帰った時に、仲の良かった地元のツレに

「お前はいいよな〜そんないい車乗って。。。」

とうらやましがられたと同時に、少し距離ができた。。。
と言っていた事を印象的に覚えています。

その先輩は、死ぬほど仕事をしていました。
コネは0で、自分でビジネスを作り、自分で営業して、
寝る間も惜しんで仕事をして、ようやく「お金を稼ぐ力」を身に着けていました。

でも、その「プロセス」は誰にも分かりません。

これは、芸能人や、プロスポーツの選手でも言えます。
売れている「結果」。成功している「結果」。だけしかあまり見えません。

芸能界で成功したり、プロスポーツ選手で、
お金を稼げるなんて、並大抵の努力では無理だと思っています。

イチローをイメージすれば
少しイメージがわくかも知れません。

彼にとっての仕事は練習です。
学生の頃、20代の頃、おそらく練習以外していないでしょうし
今でもそうだと思います。

6つの柱のうち、”仕事”しかしていないからこそ今の成功がある訳です。

ちなみに、日本は有名税が高い国と言われています。

有名税とは、有名になって金持ちになれば
周りから、いろいろうらやましがられたり
余計な気を遣ったり、非難の的になったりします。

これも日本の文化ですね。


■明るい未来に向けて!

という事で重ねてになりますが、30歳までは仕事に打ち込むべきだし
そうしないと生き残っていけません。

20代のうちなんて、多少体調を壊そうが、
恋人と別れようが仕事に打ち込むべきです。

ただ、効率を無視して、闇雲にだけやるべきだとは思っていません。
効率を高める事もできるでしょうし、効率が高まれば
より多くの仕事をこなし、また違う仕事を手に入れることができます。

僕は新卒に対して「20代のうちには、血尿を出すぐらい仕事しろ!」と言いますしw
役職者には「趣味は仕事だと言えないなら役職者を辞めろ!」とも言ったりしますw

でも、これは何も、自分の会社のために搾取したいという気持ちは毛頭なくて、
むしろ、彼らの未来を思って助言しているつもりです。


少し前にfacebook上でシェアされたこの写真ご存知ですか?


世界標準を見ろ、「ハーバード大学図書館、朝4時の風景」


・今居眠りすれば、あなたは夢をみる。今学習すれば、あなたは夢が叶う。
・今日歩けば、明日は走るしかない。
・今この瞬間も相手は読書をして力を身につけている。
・努力無しに結果無し。

これは、中国ではやったユーモアでフィクションだとされていますが
6つの柱を考える際には、おもしろいコンテンツです。

Product Empresario: 世界標準を見ろ、「ハーバード大学図書館、朝4時の風景」(フィクション)



ただ、死ぬまで仕事だけなのかと言うとそうではありません。
それだけの人生はおもしろくないですよね。

恐らく、30代の後半や、40代になってくると
家族への時間を使えるようになったり
趣味に時間を使えるようになったりするのではないでしょうか?

それで、若い頃に多少6つの柱のバランスを崩しながらも
「稼ぐ力」を手にいれた人の60歳以降はどうでしょう。

ある程度の財産はできており
趣味でゴルフなんかを楽しめて、
家族にも自由な事をさせてやれて
健康を維持できる環境を作れて、幸せな老後を過ごせるんじゃないでしょうか?


自分の人生の過ごし方と、6つの柱のバランスを同時に考えてみて下さい。

火の用心マネジメント


決まったはずの全社ルールが守られていない。
経営方針が現場で実行されていない。
全社メールで告知したのに内容が理解されていない。


企業規模が大きくなればなるほど、
新たなルールやTOP層で決めた決定事項が
末端の社員まで伝わることが非常に難しくなります。


なぜなんでしょう?

いろいろな理由はあると思います。

例えば、
理解度が乏しいまま、なんとなく伝わっているだけ。
伝わってはいるが、実行には至らない。 
単純に連絡し忘れている。など


この課題をクリアーするために、
私が意識しなければいけないと思っていることがあります。

それは”咀嚼(そしゃく)力”です。


■咀嚼とは

〜 咀嚼とは 〜

言葉や文章などの意味、内容をよく考えて理解すること。

とあります。

この咀嚼力を、伝える側も、伝えられる側も
十分に意識する必要があります。

「伝える」と「伝わる」は違うとよく言いますが、こう言う事です。

一対一でもなかなか伝わらないのに
これが、伝える対象が複数の人間だったり、役職・立場が違ったり
利害関係がまったく違う方々だったりすると、なおいっそう大変な作業になります。

その際は、どうすればいいのでしょうか?

マクドナルドの原田社長が、マクドナルドの社長に就任したばかりの時に
全国に何千人もいる店長を大型ホールに集めて、直接経営方針を伝え
その場にいない現場のクルーには、そのメッセージをつめたCDを配って浸透を図った。
という話があり、すばらしい徹底ぶりだな。。と関心します。

年に一度の全社集会やキックオフだとこのような事はできるかも知れません。
ただ、なかなか日常での重要決定事項やルール改正に関して
そこまで大掛かりなことをできないのが現実だと思います。

この原田社長のようにすべての人間に直接伝えることは非常に難しいので
一般的な方法としては

[1] 全社メールを送る。
 →ただ、階層によって伝わり方が違ったり、文章での限界がありますよね。

[2] 階層ごとに段階を経て伝えていく。
 →手間はかかりますが、ワリと伝わりやすい。

[2] とは
社長

役員

部長

MGR

リーダー

メンバー

このプロセスを経ていれば、たいてい物事はうまく伝わるはずです。
ただ、これでも先ほどの”咀嚼力”の差で結果がまったく違います。



■火の用心!!

私が、この差を無くすためによく言うのが
”火の用心マネジメント”です。(勝手に私が作った言葉ですw)


皆さん、江戸時代の城下町を頭に思い浮かべて下さい。

その町の主はもちろん、お城に将軍様なわけです。
会社でいえば社長ですね。

将軍も自分の城下町、領土発展のために
いろいろな事を考え、決定し、伝達し、統治しなければいけません。

ある日の事、その将軍が、家来の報告で
最近城下町でいろいろ事件が起こっている事を聞いたとします。
引ったくり、泥棒、殺人事件、火事など。。。

将軍はその報告を聞いて、特に乾燥する季節なので
火事の防止に対策を講じたいと思い
家来に『火の用心を徹底するように!』と言ったとしましょう。


これが、会社で言うところの「経営方針の決定」です。

あとは、この方針を城下町に浸透させて火事を減らさなければいけません。

ただ、将軍が町人すべてに伝えることは不可能なので
先ほどの、組織の情報の流れを
江戸時代に置き換えたら下記のようになるでしょうか。
(※専門家ではないので間違いはあしからず)


将軍

老中

江戸町奉行

江戸町火消

町人


この情報の流れの中に咀嚼力が必要なわけです。


この流れにも二つのパターンがあるので紹介します。


[1] 一番最悪なパターン
(※ただ結構、組織ではこんな場合が多い。。。)

将軍
↓『火の用心!』と伝える
老中
↓『火の用心!』と伝える
江戸町奉行
↓『火の用心!』と伝える
江戸町火消
↓『火の用心!』と伝える
町人

○結果
咀嚼の努力がまったくなく、町人は何をしたら言いか分からず
何も実行されず、火事は減らない。。。


[2] 本来あるべき理想のパターン

将軍
↓『火の用心!』と伝える。
老中
↓『火事の一番の原因を分析するように』と指示。
江戸町奉行
↓『原因は夜のタバコの不始末だと特定できたので、町人は交代で夜巡回すべし』と指示。
江戸町火消
↓『順番を月曜日は●●さん、火曜日は●●さんと決める』そしてその順番を町人伝える。
町人
 『火の用心、マッチ一本火事の元、タバコの不始末火事の元』と巡回し火事を抑止する。

○結果
・夜の巡回者の声を聞いて、火の元の意識をするようになる。
・自分も定期的に順番が回って巡回するので、そもそも意識があがる。

火事が減る。


[1]と[2]の違いは何かというと”咀嚼力”です。

老中は、将軍の意図を汲み取り(咀嚼して受け取り)
江戸町奉行に具体的に必要な対策を考えるように指示を出す(咀嚼して伝える)

段階を経ることで、より具体的なアクションに落としていかないと
意味がないと言う事です。

これが、意外と上が言ったことを、
そのまま下に落としている場合が多いのではないでしょうか?

受け取る側は、自分のアクションがイメージつくまで
不明な点は咀嚼力を用いて、上のメッセージをかみ砕いて理解する必要があります。

あとは、自分が下に落とす際に、下がイメージができるように
咀嚼して、下の人間に分かるように伝える”努力”が必要です。


そうしないと
例えば、社長の方針で

粗利改善、経費削減、売上向上、CS向上、新規事業開発強化など

が決められたとして、
その言葉だけが現場に落ちて来たり。
そうでなくても、実行側のメリットが理解できず、やらされになったりしますよね?

できることなら、伝える側は、伝えられる側の事を十分に理解して
相手に分かる様に、言葉を選び、できる限り具体的な事例を交え、
丁寧に伝えなければいけません。

相手の事を十分に理解するとは
相手の心理状況、知識レベル、おかれている環境、
この事が伝わることによる、メリット・デメリットなどです。


■1言えば、10わかる?


最後に、上記のように、上司・部下のチェーンの流れのうち
上層であればあるほど、比較的分かり合える場合が多いです。

いわゆる、1言えば、10わかる。というやつです。
ただ、下に行けば、行くだけ、1言っても、2ぐらいしか分からなくなります。
なので、下に行けば行くほど、慎重に咀嚼しなけばいけません。


この理由は、関係性の深さです。

上層の人間は付き合いが長い場合が多いです。
そんなにしょっちゅう、社長や取締役は交代しません。

ただ、現場レベルだと、異動や、昇格、新人が増えるなど
メンツが多種多様に変わるのです。

なので、社長が1言えば、10年付き合いのある取締役なら10わかるのです。
ただ、入社したばかりの新卒に、いくらリーダーが1言っても
10わかる事はほぼないでしょう。

ということで。関係性の深さ、価値観の共有度合を客観的に理解しながら
伝えるというコツが必要な訳です。



皆さんも経験した事があると思います。
『時間をかけて話しているつもりなのに、なかなか相手に伝わらない。。』という事が

相手に100%伝わるのって本当に難しいですよね。。。


伝える事にも受け取る側にも”努力”が必要だと思います。
その努力(=咀嚼)をお互いがする事で
普段のコミュニケーションも、よりよいものになると思います。

「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法。という本を読んで

非常にお世話になっている方が本を出版されました。

グローバルに事業を展開したいと思っている方は
必ずヒントになる内容が書かれていますのでお勧めです。


「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法

「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法

森辺さんは、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ株式会社(SDI)
の代表をされており
【Sankei Biz】 にも定期的にコラムを提供されています。

SDI社の事業概要を簡単にご紹介すると
中国、インド、東南アジアで事業を展開される企業の支援事業全般
主に、現地リサーチ、法人設立、営業支援、M&Aなど

僕が以前に森辺さんと話していて、なるほどと思った事の一つが
例えば、現地企業と業務提携(M&A、アライアンスなど含む)を実施する際に
そもそも向こうから、提携や売却を検討している会社と話をするのではなく

[1] まず、自分たちで現地で勝つための戦略を明確に持つ。
[2] その戦略にマッチしている提携先企業を0から探す。
[3] ピックアップできたふさわしい企業を、必死で口説く。
[4] 提携が成立する。

というプロセスを踏むべきだと言う考え方です。
これは、国内、海外問わず必要な考え方です。

どうしても、上場企業で無いとM&Aエージェントから出てくる提携先候補リストは
必ずしもいい会社ではないケースが多いです。
ex)経営者が高齢で、そろそろ売却したい。
 事業がうまく軌道に乗らないので売却したいなど

その中から、【Better】な会社を選んで
提携の話を進める。というのがよくあるプロセスです。

ただ、森辺さんの考えは
スタートから【Best】の会社探しを念頭に置いています。

【Best】の会社が見つかったら
一緒になって口説き落とすというものです。
【Better】で妥協はしない方がいいということです。



※SDI社サイトより引用


例えば、僕が中国でコールセンター事業を展開したいと思ったなら
中国にある、コールセンター会社をすべてリストアップして
一社一社調査して、【Best】だと思う会社を探し出して
その会社に能動的にアプローチをかけるという事です。



■アジアで儲かる会社に変わる30の方法


ちなみに、このblogをシェアして、
この本を宣伝して下さった方の中から抽選で
僕が自腹で買ったw10冊をプレゼントします!(送りますね)




では、この本を読んで、重要だと感じたことを何点か記載させて頂きます。




■生き残りをかけるな

まず、アジアの市場は「生き残るために出る市場ではない」という事です。
そんなに甘くはないという事です。
国内でうまく行っていない会社が
海外でうまくいく可能性は極めて低いでしょう。

どの会社も、『今、日本じゃだめだ!アジアだ!』
何て言っていますが、目の前の事業もおぼつかないのに
百年早いという戒めだととらえました。

あとは、体力(資本)のない会社は進出するべきでない。
目安としては、年商50億以上だそうです。
(ただ、勢いがあって、成長戦略が明確であるベンチャー企業は別という事です。)

そんに簡単に結果が出ません。それでも投資し続けられる体力がないと
せっかくのビジネスチャンスも、資金ショートで撤退に追い込まれます。





■現地に合わせる

森辺さんがとくに強調されている一つに
”マーケットインの発想を持つ”という事があります。

日本企業は、全世界的に見ても
この発想が極端に少ない国だと思います。


というのも、日本の基本的な固定概念として

「高品質・高技術」=「いい商品」=「売れる商品」

という方程式があると思いますし、僕もそう思っています。


ただ、海外では、この方程式では悲惨な結果を導くのです。

『日本企業の製品・サービスだから、アジアの人は欲しがるだろう。』
という発想を捨てなければいけません。


例えば、エアコンを例にすれば

「省エネ・音静か・自動洗浄」

が日本の消費者の心をつかむことはできます。

ただ、アジアでは、相手にされないと言うのです。


「省エネ」に関して言えば
日本では『夏場の設定温度は28度』みたいな感覚がありますよね。
アジアでは『22度、もしくは最低温度設定』が当たり前です。

そう言えば、海外に行けば、室内のエアコン寒すぎる。。。と日本人は感じます。

あと、こんな常識があるのです。
『空気が冷たい=空気がきれい』 なので省エネの感覚は無くなります。

さらに日本人にとって、もっと意外なのが
『音がガンガンうるさい方が、エアコンが効いているような気がする』
と感じるアジアの人々が非常に多いという事です。

日本では考えられない常識があるのです。


冷蔵庫で言えば
インドではカギ付きの冷蔵庫のニーズが高いです。

インドでは冷蔵庫は高級品です。
冷蔵庫を持っている家庭には必ずお手伝いさんがいます。

そのお手伝いさんが、冷蔵庫の中のものを盗むことも日常茶飯事なのです。

マーケットインの発想で
「カギ付き冷蔵庫」を作った韓国LGは
インドでの冷蔵庫のシェアをどんどん奪っていきました。

LGはその他にも
イスラム圏内で、一日5回、画面に「コーランが流れるテレビ』を開発し、
ヒット商品となっています。


ちなみに、サムスンでは「地域専門家制度」という制度があります。
若手社員を半年から、一年海外に派遣し、その国や地域の文化を学ばせるという制度です。

しかも、その期間一切仕事はしてはいけない。というルールです。

どっぷりその地域で生活し、現地の社会や文化に精通した人材を
とにかく密に育てることに、コストと時間を徹底してさいていいます。
これは、すごいですね。。。


日本のメーカで、ようやくマーケットインで商品販売したのが
2012年、日産がアジア新興国向けに発売した
価格50万円に抑えた「ダットサン」です。

●2012.3.12 日産「ダットサン」ブランド、印露などでは発売1年以内に2モデル

ダットサン」は日本では昭和50年代に使用していたブランドです。。。

でも今のアジアでは、高品質、高価格の商品ではなく
とにかく走れば、安くていい。
このレベルの商品が売れるという事です。

このマーケットインの発想が重要であるという事は
非常に勉強になりました。



■ローカルの企業は十分「競合」である

日本企業が海外進出する際に、先駆者のケーススタディーを学ぶのは
非常に重要な事です。

日本企業は、どの先駆者から順番に学ぼうとするかというと
まず、同じ日系企業→その次に欧米企業→韓国、台湾 などの外資系企業です。

ただ、もっとも重視して、学ばなければいけないのが
現地企業だという事です。

これは、特に新興国の場合は当てはまります。
理由は、新興国は、まだ販路・チャネルその他、流通構造、マージン構造が
未整備な場合があります。

小売りに関しては、一般的に下記の二つの方法があります。

「1.伝統的小売り」 昔ながらの家族経営、個人商店小売り
「2.近代的小売り」 コンビニ、スーパー、チェーン型の小売り

先進国では大半が「近代的小売り」ですが、
例えば、インドならまだ95%が
インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイでも70〜90%が「伝統的小売り」なのです。

そうなると、ローカル企業から学ぶべきことはたくさんある。という事です。




■パートナーは万能ではない

上記で記載しましたが、もし【Best】な現地パートナー企業が
見つかったとしても、その企業が現地の事をすべて
パーフェクトに把握している訳はないのです。

インド人だったら、インドの事をすべて知っている
中国人だったら、中国の事をすべて知っている。という錯覚はまずいという事です。

言われてみれば、当然の事ですが、僕もこの錯覚に陥っていました。


もし、今自分が日本のビジネスの事をすべて把握しているかと
聞かれると”NO!!”でしょう。
自分の業界、自分の職種の事以外って、ほとんど知識として無いのが普通です。

それが、海外進出となれば
いいパートナーが見つかれば、あとはその会社に任せていれば何とかなる!
と勘違いをしてしまう訳です。

なので、パートナー企業に”任せる”という事ではなく
パートナー企業を”活用する”ぐらいのスタンスに変えないといけません。

こちら側で、積極的にマネジメントをする!という事です。

よく言われる、資本注入したのなら
『金を出したら、口も出せ』というヤツですね。





■本社のグローバル化

日本企業がグローバル展開に遅れをとっている
一つの理由として、”言葉の壁”というものがあります。

ちなみに、質問です。
ご自身が英語が話せず、グローバル事業を展開するとしたら
現地のトップは何人にしますか?

現地人ですか?日本人ですか?

大半の人は日本人と答えるはずです。
なぜなら、そうでないと、現地事業に関する
様々な意思決定を行うコミュニケーションが取れないからです。

もし現地人をトップとした場合
常に通訳が必要で、相当のコミュニケーションロスが発生します。

そうなると、人材獲得の大きな条件が
【日本語が話せること】となる訳です。

日本語の話せない、ローカルの優秀な人材は
採用基準を満たさない訳です。

この本では、とにかく現地化を勧めています。
ローカライズしないと、マーケットインの発想も乏しく
現地事情も分からないままのマネジメントになります。

なので、現地の人材をトップにした方がいいという事です。

よく考えてみると、P&Gもマクドナルドも
外資系企業で日本に進出してきている企業のトップは
日本人であるケースが多いですよね。

それは、外資系企業がこれを意識しているからでしょう。


日本人の英語に対する苦手意識はまだまだ根強くあります。

最近話題になった、ユニクロ楽天の社内公用語を英語にするのは
真のグローバル化の表れですね。



アジアの市場を獲得していくというのは
今後必要な考え方で、10年後にはスタンダードになっていると思います。

自分の子供たちが社会人になるころには
大手は当然、中堅企業も、海外に事業所を持っている事が多くなる時代が来るでしょう。

というか、そうなっていないと、日本の成長はありません。

以前に、サムスン副会長の李潤雨(イ・ユンウ )が世界経営者会議
『アジアの標準が、世界の標準となる。』とおっしゃっていました。

日本企業も、グローバルスタンダードをどんどん創っていくぐらいの気概をもって
成長戦略を描いていきたいですね。