アメリカのコールセンター市場 【その2】 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜


カンザスシティーのテレマエージェンシー【USA800社】エントランス

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 【その1】: 〜 アメリカのコールセンター市場概要 〜
 【その2】: 〜 アメリカのコールセンター特徴 〜
 【その3】: 〜 アメリカってどんな国 〜(お気楽な感じ)
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アメリカのコールセンター企業

米国には約4,200社のコールセンター関連企業があります。
日本と様子が違うのが、そのシェア率です。
日本の市場だと大手5社で市場の約75%の売上シェアを占めています。
※【通販新聞テレマーケティング売上高調査】 上位5社合計で約70%のシェア

米国だと上位15社でようやく50%となり、
1社で10%以上のシェアを持っている企業はありません。
シェアNO.1のconvergys社でも7,1%となっており、まさに群雄割拠の業界といえ
各社特徴を出したり、差別化を意識しているように感じました。


例えば、今回訪問したテレマーケティングエージェンシーの【NOVO1社】
年商150億規模の企業ですが、独自の取り組みをいろいろ行っていました。



【NOVO1社】のCMOジャックとツーショット


例えば、エージェント採用のシステムを独自で開発しており
応募の段階で、web上でテスト行ったり、適正診断を行うことが可能だったり
入社前から、声のオーディションを行うなど、非常に効率的に管理しています。
随時、そのスキルに見合う人材をプールしています。


【USA800社】はエンプロイオーナーシップという思想があり、
エージェントも自社株を持つ事を推進し、一人一人がオーナーシップを持つように
という思想でオペレーションをしています。



■モチベーション管理

もちろん、万国共通でエージェントの
モチベーション管理はどこも徹底しています。


[ 環境のいいセンター ]

[
大きなデスクが一人に一つ


BOSSも誕生日バルーン



[ 旅行のプレゼント ]

この写真は毎年優秀者上位5%を対象に
カリブ海のセレブビーチリゾート【カンクン旅行】をプレゼントするというポスターです。


[ 家族写真 ]
これはすごいいいと思ったのですが
センターに向かうまでの廊下なのですが
そこに勤めるエージェントの”実際の家族”の写真が貼ってあります。

何のために、誰のために頑張って働くのか?
毎日実感しながら働いて欲しい。という思想だそうで
非常にいいな〜と思いました。



■テレワーク(在宅エージェント)について

日本では個人情報の観点などから、
なかなか在宅テレワークが拡大していませんが、アメリカでは非常に進んでいます。

データから言えば、コールセンターの53%がテレワークを利用しており
このうち70%の企業が、今後も増やしていく。という方針があります。
2013年度のCCAJ調べで、日本コールセンターでは
80%が導入予定なし、7.3%が予定あり、3,6%が導入済みとなっており
53%が導入済みの米国と3,6%しか導入していない日本とでは大きな差があります。

例えば一例として、米国大手エージェントのsykes社では、
すでに米国40州、カナダ8州にて5,000名のテレワークを利用しており、
ヒルトンホテルでは900名。シティーグループは1,000名など

あと、今回訪問した【optumRX社】では
実際のテレワーカースタッフ
「アレクサ」さん(在宅勤務2年半)へのインタビューを行えました。

まずこの企業では、テレワークで勤務できる福利厚生の一環という捕らえ方です。
テレワーカーになれる資格は、まずこのセンター内で6ヶ月以上の勤務経験があること。
そして、6ヶ月の成績上位40%以上に入っていること。
子供がいる家庭では、オペレーション中は必ず子供を
デイケアセンターなど、どこかに預けていること。
この条件をクリアーしている人にチャンスがめぐってくる。という事です。

なぜ福利厚生の一環かと言えば
エージェントに取ってメリットがあるからです。
僕もこのテレワーカーに、在宅になった事でのメリットとデメリットを聞きました。
メリットは、とにかくガソリン代がかからないので経済的。
服装を気にしなくて良い、通勤時間が不要など

統計では、テレワークを導入することで
企業側のコスト削減が月間8,000円(地代家賃など)
エージェント側が22,000円(ガソリン代、食事代、税金など)
合計30,000円の経済効果があると言われています。


ただ、デメリットとしては、会社のメンバーとコミュニケーションを交わせない。
というものでした。
実際、これは大きな課題だとどの会社も認識しており
せっかく活躍していた、テレワーカーが疎外感を感じて、退職してしまうという問題も
当初は多かったらしく、どの会社も在宅で業務はするが、1ヶ月のうち何度かは
オフィスに来て、mtgをしてコミュニケーションの機会も持っていると言っていましたが。


日本企業である僕達が一番気になるセキュリティーに関して
例えば、個人情報を写メをとったり、
メモを取ったりできるものに対しての対策は?と質問すると。
企業側の回答としては『6ヶ月間うちで活躍した人材なので信頼しています。』
という事で、なんとセキュリティーをITでカバーしたりという事はなく
信頼関係という事でカバーしていた事には少し驚きました。

あと何社かに訪問しましたが、PCの付与に関しては
ある会社は付与するし、ある会社では付与しないなど、ばらつきはありました。

数社訪問しましたがセンター人員の5%〜10%ほどは
テレワーカーで運用をしていました。この普及率には少し驚きました。


■最後に

今回複数のコールセンターに訪問して感じた事は
米国のセンターと日本のセンターと比較すると、もちろん、違いがあるものの
圧倒的に米国の方が先を行っているという感じではなかったと言う事です。

もちろん、在宅エージェントやシステム投資、合理的なオペレーションなどは
さすがだと感じる部分はたくさんありました。

あるセンターでは、一切マルチ化を行わないと言っていました。
専門性を強化する。とは言っていましたが、ひとつの仕事を極めるほうが簡単です。

日本ではマルチ化、複数オペレーションを実行できる優秀はエージェントはたくさんいますし
それをよしとしており、非常にエージェント自身が優秀だと思います。

そう考えると、日本のエージェントの技術は非常に高いのでは?とも感じました。

あとエージェントの雇用形態に関しては、
人材エージェントを利用している実態も分かりました。
NTTソルコ社調べでは、インハウスでは58社中54社93%が
テレマーケティングエージェンシーでは82社中80社97%が
人材派遣を利用しているようで、非常に高い比率です。

我々は日本国内ではコールセンターに特化した人材派遣を展開しています。

今後は日本国内に留まらず、いずれ米国、その他のアジアへの進出も
視野に入れたいと思っています。
その際には、日本のいい部分をしっかり維持しながら、
ローカライズも行ったサービスを提供できるように
引き続き、調査やニーズ確認を行って行きたいと思います。