敗者のくせ



10月24日 第13回:日経世界経営者会議に出席してきました。
サムスンの副会長、セブン&I鈴木会長など、
名だたるグローバル経営者のメッセージを聞くことができました。

そんな中で、WLロス・アンド・カンパニーという
企業再生を得意とする米国の投資会社で
今までの企業再生規模は、世界中で2,000億ドル。

米国フォーチュンでは「再生王」と呼ばれる
その会社会長のウィルバー・ロス氏のメッセージで印象的だったのが
「敗者のくせ」というフレーズです。

負債を抱え再生先となる企業によくあるのが
自信を無くし、責任転嫁を当たり前のように行う社員ばかりになる
「敗者のくせ」です。

責任転嫁の中身とは
国内市場がシュリンクしている。。。
相場が不利だ。。。
その他、内部のリソースに関してなど。。枚挙に暇はない。

まさに「朱に交われば朱が見えなくなる」
上記の再生企業においては、責任転嫁の文化が蔓延していることに、
誰しも気づかなくなる。正しくは、気づけなくなる。ということでしょう。

こうなると、変革をするためには
CEOなどトップまでも入れ替えて、抜本的な改革をしないと
絶対的に改善はされないということです。
(普通の会社ですぐにできることではないと思いますが。。)


この話を聞いて、イメージしたのは日産ゴーン社長です。
工場をどんどん閉鎖し、
プロダクトアウトからマーケットインへの文化改革など

あと、再生が必要な時は、コンセンサスではなく
ガバナンスの効いた独裁的な発想も必要とのことです。




■今の日本国も「敗者のくせ」?

この企業再生の話を、今の日本国に置き換えて考えてしまいます。
元気が無く、新興国に負けている感じ。
何だか責任転嫁をしていて、変化が見えない。。

まさに、今、日本は再生が必要な国で、ガバナンスの効いた
ある意味独裁的なトップ、リーダーの登場を待ち望んでいます。

ロス会長は今回来日80回目で
それこそ、80年代の日本は、自信に満ち溢れおり
あの頃と今とは別の国のようだと。。。

もちろん、バブル時代に戻れと言いたい訳ではなく
自信を取り戻す”きっかけ”が必要だということでしょう。

円高で輸出が不利だという現実はありますが
逆を返せば今こそ、保有している資金で海外企業を
買収するにはチャンスの相場です。

ちなみにトムソンロイターのまとめによると、今年9月末までの日本企業
による海外企業のM&Aの金額は前年同期比16%増加し、
4兆円に迫る勢いということで伸びています。この調子で攻めてほしいです。

あとは、研究開発投資がもっと必要とのこと。
それは、日本、米国にも共通しており。たとえば
理系人材の輩出は、中国、韓国に比べて圧倒的に少ないというデータもあるようです。

今でこそ、中国はマネの文化ですが
その先を考えると、技術力でリードする時代が来るという脅威もあります。
市場の大きさも、技術の高さも備えると、日本にもう勝ち目はないでしょう。




■自分の組織では

自分の組織内でも、「敗者のくせ」がついているチームがあるのでは?と
考えただけでもゾッとしますね。
もしそうなっているならトップ人事を置き換える!という選択肢を取れるでしょうか?
リソースが豊富な環境でない一般企業では現実的ではないでしょう。

そんな時、僕が意識をするのは
小さくてもいいので”成功体験”を”たくさん”積み、
それをどんどん”共有”するということです。

ポイントは小さくてもいいということです。

こんな時に必要なのは自信だと思っており
その自信を取り戻すには成功するか、認められるしかないと思っています。

自分たちで考えたやり方を信じ
そのやり方で、少しずつうまく行っていればみんなで共有し
「自分たちは間違っていない」
「いい方向に向かい始めている」という雰囲気を演出しなければいけません。

うまくいった事例をメールや会議の場で共有する。
ゴールに近づいている進捗を共有する。
チーム全体の雰囲気を優先し、些細なミスは見過ごす。
コミュニケーションの数を増やして直接勇気付ける。

そんなことの積み重ねが重要だと思っています。

最近の日本国での成功体験でいけば、
なでしこジャパンの優勝
理化学研究所の京開発 など

世界に誇れる、自信を取り戻す
なんだかパワーをもらえるポジティブなことだったと思います。
メディアも意識して発信してほしいです。

ちなみに、石原東京都知事
なでしこジャパンが優勝した時に
「東京都内で盛大に優勝パレードをする!」という案を
実行できなかった関係者をかなり叱り飛ばしたようですが
この考え方は納得できました。

はやく日本が元気な国になるように
もっともっと世界に誇れる”何か”を作り出して行きたいですね。