コールセンターと言えば、今フィリピン!



全世界の中で、今一番コールセンター市場が
活性化しているのは、間違いなくフィリピンです。

フィリピンBPO、昨年の売上26%増:コールセンターは印を抜き世界一
NNA フィリピン 2011年4月11日(月曜日)


BPO全体の伸び率もすごいのですが
その中のコールセンターだけでも、
昨年比21%増の(61億ドル=5185億円)と
ここ数年で、ほぼ日本のコールセンター市場規模(6,488億)
と同じぐらいまで成長しています。


就業者数は23%増の34万4,000人で、現状約40万席の
ブースがあると想定されています。
※ちなみに日本は約100万名、米国は180万名が、コールセンター産業に
携わっているとされています。

ちなみに、フィリピンのGDPの2〜3%ほどを占めていますので
日本でいうと自動車産業と同じぐらいの産業だと聞くと、
インパクトの大きさが伝わると思います。


その市場の大半が、米国企業のコールをフィリピンで対応するというもので
例えば、マイクロソフト、IBM、米シティバンクHSBC、TA&Tなどは
全てフィリピンでコールセンター運営をしており
日本企業で言えば、パナソニックUSAなんかはその一つです。

また、かつて海外企業のBPO市場NO.1だった
インドのコールセンター会社のなかにもフィリピンへ
活動拠点を移す動きが広がっていて、
すでにマニラ首都圏では2万人がインド企業で働いているといわれています。

参考:
フィリピンコールセンター企業大手 サイクステレテック求人




■なぜインドからフィリピンへ

そもそも、コールセンター、テレマーケティングの発祥は米国で
規模的にも世界で一番大きいとされていました。

その米国のコールセンターが、インドへ、最近はフィリピンへ
どんどん移管されています。

その理由は、シンプルに人件費ダウンが目的です。

米国企業のコールですから
英語が話せれば、全世界場所はどこでもいいわけです。

そこで、注目されていたのがインド。
豊富な若年層人口、安い労働賃金、そして高いIT技術力に英語力といった条件が揃い、
多くの多国籍企業のアウトソース先となってきました。

では、なぜフィリピンがインドを抜いたのでしょうか?
大きく3つの理由が挙げられます。

[1] フィリピン政府の積極的な支援
政府は通信インフラの整備に近年、多額の投資をし、
アウトソースビジネスの発展に注力してきた。
そしてコールセンター会社に対しては事業開始から8年間は課税を全額免除する
などのインセンティブも設けている。

アキノ大統領も誘致に積極的 NNA 2011年9月29日(木曜日)

[2] オペレーターの質
好景気のインドは売り手市場であり、英語ができる教育レベルの高い若者たちは、
賃金の高い仕事を求めてすぐに辞めてしまう。
同国でコールセンター業の年間離職率は60%にも上るが、
この傾向はフィリピンではほとんど見られない。
そのため技能の習熟度で先をいくフィリピンのコールセンターの
クオリティーは高くなってきている。

[3] 英語力
フィリピンは20世紀前半に米国の植民地だったこともあり、
国民の英語レベルが総じて高い。なまりの強いインド英語と違い、
アメリカ英語に近いことも強みで、米国人の顧客を持つ企業を引きつける要因ともなっている。

参考:
コールセンター大国の座を射止めたフィリピンの実力


■あこがれの仕事

インドから、フィリピンへシフトしている背景に
人件費を下げて、企業競争力を高めたいと考える
米国の戦略が垣間見られます。

これは、企業間の働きかけ、だけでなく
国家間の連携という力も働いているでしょう。

なので、コールセンターで働く人を
非常にハイクラス扱いをし、”あこがれの仕事”という
演出も非常にうまく行っています。

日本国内のコールセンターでの印象とは
まったく違うロイヤリティーをフィリピンの人は持っています。

フィリピンではコールセンターの入っているビルは
日本で言うと、六本木ヒルズのように扱われ
シンボルタワー扱いをされています。

『コールセンターの仕事の休憩時間に
スターバックスでコーヒーを飲む。』

このスタイルがフィリピン国内で、”一番かっこいい”とされていますw




参考までにコールセンタースタッフの給料は月1.4万ペソ(約2万5千円)
くらいからスタートし、習熟すると3万ペソ(約5万4千円)

マニラの最低賃金は月9200ペソ(約1万6千円)で大卒の初任給も同じぐらいです。
コールセンタースタッフは大卒平均賃金の1.5倍から2倍の収入ということになります。

極端な話、銀行員よりも高い給料で
CA(キャビンアテンダント)よりも人気職種とされています。


今、オバマ大統領が再選をかけて失業率向上の一つとして
コールセンターのフィリピンへの移管をストップする必要性も
論じられるほど、非常に大きな雇用がシフトしています。
アメリカのコールセンター市場に関してはこちらのblogにまとめています。

■最新のコールセンター情報

最近、日本の業界内では
最新のコールセンター市場や、最新のオペレーションシステムなどを
取り入れるために、米国でなく、フィリピンに視察にいく動きが出てきています。

その背景としては、米国企業も、最新のシステムを自国のセンターに投資するのではなく
フィリピンのセンターに投資するのが主流となって来ているためです。

僕も5月に一度フィリピンに視察に行こうと思っています。


5月に視察に行った際の情報を下記blogにまとめてます。
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 【その1】: 〜 フィリピンってどんな国 〜(お気楽な感じ)
 【その2】: 〜 フィリピンのコールセンター市場 〜
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そこで知りえた情報を、自社のサービスに活かしたいのと
海外でのビジネスチャンスを得ることが目的です。

日本のコールセンター市場全般のロイヤリティーを高める
”何か”に出会えれば最高ですね。



動画:企業のコールセンターが集中  比の首都マニラ [you Tube]2:26秒